こんにちは。データベーステクノロジ 技術部のSです。
先日、日本オラクル様より新書「OCIで学ぶクラウドネイティブ 実践×理論ガイド」をいただきました。
「クラウドネイティブ」という言葉が世の中に定着して久しいですが、近年ではクラウド技術の標準化・成熟とともに エンタープライズ領域においても重要なテーマとして扱われるようになってきています。
この変化により、インフラエンジニアの役割も、サーバやネットワークを「構築する」に留まらず、アプリケーションの特性を理解したうえでの 設計・運用まで含めて考えることが求められるようになってきた気がします。
本書が、インフラエンジニアが「クラウドネイティブ」とどう向き合うかを考える上での示唆を与えてくれるのではという期待も持ちつつ、読み進めてみました。
書籍情報
- 著者……日本オラクル株式会社(市川 豊、 仁井田 拓也、 野中 恭大郎、 川村 修平)
- 出版社……株式会社インプレス
- 発行日……2025/9/17
- ページ数……464
著者紹介
全員、日本オラクル株式会社に所属しており、クラウドネイティブ技術を中心とした仕事に携わっています。
また、全員Cloud Solution EngineerなのでOCIについての知識も豊富で、クラウドネイティブ技術に関連するコミュニティにも参加しており、積極的に情報発信・収集されています。
概要
本書は、クラウドネイティブの基本的な説明と、クラウドネイティブ技術を活用する方法を説明している書籍です。
理論を学んでそれで終わりではなく、OCIでの実践学習も詳細に解説されており、ハンズオンによってクラウドネイティブをより深く理解できます。
ポイント
クラウドネイティブ技術の活用により、柔軟なクラウドサービスの特定を活かしてアプリケーションの構築・実行・管理の自動化が実現でき、インフラ構築と保守・運用の負担が軽減します。
インフラ側の負担軽減だけでなく、人的ミスやアプリケーション更新の遅れといったリスクも減り、ユーザからの信頼獲得にも繋がります。
例えば、インフラ構築者である私がクラウドネイティブ技術(IaC:Infrastructure as Codeなど)を活用する場合、大規模環境を構築する際に設定が同じOCIリソースを1つ1つ作成するのではなく、作成を自動化できます。
同様に、削除や変更、別のクラウドサービスの環境をOCIに移行する作業も自動化でき、インフラ構築と保守・運用の中で、自動化できるところを自動化して効率アップを図れます。
私としては、コードを利用してインフラ構成の操作を自動化できるIaCが、クラウドネイティブ技術の中で一番有効活用できると感じます。
- 1章:クラウドネイティブとは?
クラウドネイティブの定義と、クラウドネイティブに関する各用語(DevOps、 マイクロサービス、 IaC、 オブザーバビリティ、データベース)の説明が行われています。
クラウドネイティブ技術の普及・発展を支援する非営利団体CNCFによる定義が簡潔にまとめられており、クラウドネイティブとは何かを理解できます。
また、クラウドネイティブの各用語がそれぞれどういったものかが、図やグラフによって視覚的に説明されています。
- 2章:OCIクラウドネイティブ
OCIの概要と特徴の説明が行われています。
OCIについての基礎的な説明と、クラウドネイティブなアプローチのためのOCIサービスについて説明されており、初めてOCIに触れる人でも基礎内容を理解できます。
- 3章:OCIクラウドネイティブサービス
OCIクラウドネイティブサービスの概要と特徴の説明が行われています。
2章で触れられたOCIサービスについて、各サービスの内容やユースケースが詳細に説明されています。
- 4章:ハンズオン概要
ハンズオンの概要の説明が行われています。
Oracleが提供するサンプルアプリケーションであるMuShopについて、特徴と動作イメージが説明されています。
- 5章:ハンズオンの準備とIaC&CI/CDの実践
ハンズオンの事前準備と実践の説明が行われています。
OCIの初回登録からMuShopのセットアップ準備、実際の環境構築手順の説明がされており、手を動かしながらクラウドネイティブ技術を実践形式で理解できます。
- 6章:オブザーバビリティの実践
5章で構築したMuShopの監視の説明が行われています。
アプリケーションの構築・実行・管理を自動化したうえで、インフラの保守・運用の目線では環境の監視も行うべきであり、監視設定について説明されています。
評価
本書は、基礎的な内容だけでなく応用的な話も含まれており、幅広い知識が身につきます。
前半は概要説明による理論学習、後半はハンズオンによる実践学習となっており、ただ本を読むだけではなく手を動かすことで、クラウドネイティブを体で覚えることができます。
OCIのクラウドネイティブサービスを利用した基礎的な環境構築を経験しておくことで、今後の応用的な環境構築にも繋がります。
OCIの豊富な機能と頻繁な機能更新によって、今後もサポートされる機能やサービスが増えていくことが見込まれ、将来性の面でもOCIでクラウドネイティブを学ぶことに意味があります。
想定される読者
本書は、クラウドネイティブについての基礎を学びたいという人と、OCIを触ってみたいという人、どちらにもお勧めできます。
ただ、ハンズオンで挫折しないためにも、OCIを触ってみたいという人には、実際にハンズオンに取り掛かる前にOCIの機能や特徴について十分に理解することを推奨します。
さいごに
本書を読んだうえで実際に手を動かして環境構築を行う事で、OCIのクラウドネイティブについて深く理解できます。
基礎的な説明も豊富なので初心者にも分かりやすい内容で、ハンズオンもOCIの無料枠内で実践出来る内容となっています。
本書は、OCIでクラウドネイティブを学ぶという目的に正確に合致しており、最初に手に取る一冊として相応しい内容となっています。
私も本書を通じて、IaCによる再現性の高い環境構築や、運用を見据えた設計支援といった領域に取り組むメリットを改めて認識しました。
OCIを、お客様のシステムが長期的に、ビジネスの成長に併せて活用できる基盤として活かしていくためにも、引き続きクラウドネイティブ領域への アンテナを、継続してはっていきたいと考えています。